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S&P500やTOPIXは本当に良いインデックスか? (時価総額加重平均の問題点)

こんにちは。ゆうじろうです。インデックス投資家にとって最も有名な指数にS&P500があります。世界一の投資家ウォーレン・バフェット氏が遺産の90%をS&P500連動のインデックスファンドに投資するように指図したことでも有名ですね。でもS&P500は本当に良いインデックスなのでしょうか?

S&P500とNYダウ

S&P500は米国の大型株500銘柄の株価を時価総額比率で加重平均した指数になります。500銘柄と幅広く分散投資されているので、概ね米国の株式市場を反映した指数といえます。

 

米国の株式指数で他にはNYダウも有名です。ニュースや新聞ではNYダウが取り上げられることが多いので、投資をしない人にはNYダウの方がよく知られていますね。NYダウは米国の超大企業30社のみを対象した平均株価になります。

以前の記事でNYダウのインデックスファンドについて調べていますので参考にしてください。

NYダウインデックス投資信託を比較(iFree、たわら、eMAXIS、SMT) - 1億円のポートフォリオ

 

インデックス投資家の多くはNYダウよりもS&P500の方を支持していると思います。その理由はNYダウがたった30銘柄の指数であるので分散が不十分という点と、指数の算出方法が平均株価である点です。平均株価というのは30銘柄の株価を足し合わせて補正値で割っただけの値です。株価の高い”値がさ株”と呼ばれる銘柄に重みがつきます。単に株価が高いだけの銘柄に重みがつくのは私にもよく理解できません。NYダウは銘柄分散でも指数算出方法でもあまり適切でないように思います。

 

では、S&P500NYダウの過去のパフォーマンスを比較してみましょう。まず、200712月から201712月までの10年間を比較してみます。

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:NYダウ:S&P500

2007年から2013年まではNYダウとS&P500はほぼ同じ変動パターンを示します。2014年から2017年はS&P500のパフォーマンスがNYダウを上回りますが、2017年後半でNYダウがS&P500に追いつきます。

 

500銘柄に幅広く投資し、時価総額加重平均されているS&P500ですが、NYダウより優れているようにはあまり見えませんね。期間が短いとパフォーマンスが発揮されないのでしょうか?念のために期間を1987年12月からの30年間にして比較してみましょう。

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:NYダウ:S&P500

過去30年間のほとんどの期間でNYダウがS&P500を上回っています。S&P500NYダウを上回るのは1999年と2000年くらいです。ちょうどITバブルの頃ですね。時価総額が異常に膨れ上がったIT関連銘柄に重みを付けて指数算出したことがS&P500上昇の原因でしょう。その後のITバブル崩壊でS&P500NYダウ以上に下落しています。

多くの投資家にとって分散投資する目的はリスクの抑制だと思いますが、S&P500はNYダウよりもリスクが抑制されていると言えるでしょうか?

 

TOPIXと日経平均株価

次に国内市場でも確認してみましょう。日本には日経平均株価とTOPIXという有名な指数があります。

 

日経平均株価は大型株225銘柄から構成される指数でNYダウと同様の平均株価で算出しています。ファーストリテイリングの構成比率が7%以上になる等、一部の値がさ株の重みが大きいことが問題とされています。

 

TOPIXはS&P500と同じ時価総額加重平均です。さらにTOPIXは銘柄数が2000以上あり、S&P500よりも幅広く分散されていると言えます。では、過去10年間の日経平均とTOPIXのパフォーマンスを比較してみましょう。

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赤:日経平均青:TOPIX

国内市場でも幅広い分散の時価総額加重平均(=TOPIX)は少数銘柄の平均株価(=日経平均)に劣後しています。

この結果を私は実感を持って感じることができます。私は2007年後半にTOPIXに連動するETFを購入していました。不幸なことにその後すぐに株価は下落し、購入時価格から4〜5割低い価格でずっと推移していました。まあ、大損ですね。

 

2012年末からのアベノミクスで株価が急上昇した時、ニュースで日経平均株価がリーマン・ショック前の水準に戻ったことを知ってTOPIX ETFの株価を急いで確認しました。残念ながらTOPIXは購入した当時の価格を回復していませんでした。結局、含み損を解消したのはそれからさらに2年間の株価上昇後でした。

 

時価総額加重平均と世界経済インデックス

 私が何を言いたいかというと、指数の算出に時価総額加重平均を用いるのは問題があるということです。NYダウや日経平均の指数算出が優れているとは全く思いません。値がさ株に対して重みがつくのは問題だと思います。でも時価総額加重平均はそれと同じくらい問題が大きいかもしれません。

 

時価総額加重というのは割高株に重みをつけるということです。逆に割安になった株の比重を下げます。つまり「高く買って安く売る。」ということですね。株式市場が真に効率的で、本来の価値通りの株価が付けられていれば何も問題はないと思います。でも市場は今も昔もそんなに効率的ではないでしょうね。

 

例えば、仮想通貨のビットコインは1年間で20倍上昇したそうです。時々、4割くらい下落してニュースになりますよね。ジェットコースーターのように価格が変動しますが、本来の価値はいくらなのでしょうか?私にも分かりませんが、これだけ大きく変動するということは市場も正しく値付けできていないということでしょう。

 

世界経済指数でも時価総額加重平均は広く使われています。MSCI world指数で国別組入比率を確認してみましょう。

1988年の日本の組入比率は世界全体の44%でした。米国が29%でしたので米国を超えて世界一の時価総額でした。今から考えると異常ですが、時価総額加重平均に従って投資すると、世界に幅広く投資しているつもりでもバブル期の日本に集中的に投資していたことになります。

 

2017年のMSCI worldでは米国の比率は60%です。でも、米国の世界に占めるGDP比率は24%程度です。今は特におかしいと思わないかもしれませんが20年後に今を振り返ったときにどう思うでしょうか。

 

インデックス投資で1億円のポートフォリオを組みたいと考えている私にとって、時価総額加重平均で本当に良いかという問題は非常に大きいです。

 

では、どうすれば良いか?

 

少し長くなりましたので、また次回考えていきます。

追加記事を書いています。併せてどうぞ。

S&P500やTOPIXは本当に良いインデックスか? その2(時価総額加重平均と均等ウェイト) - 1億円のポートフォリオ