こんにちは。ゆうじろうです。三菱UFJ国際投信が運用する低コストインデックスファンドシリーズにeMAXIS Slimがあります。
以前の記事で国内株、先進国株、新興国株についてeMAXIS Slimを含む低コストインデックスファンドを比較しています。
国内株式インデックスファンド比較 TOPIX編(eMAXIS Slim, 三井住友DC, iFree, ニッセイ, たわら) - 1億円のポートフォリオ
先進国株式インデックスファンド比較(ニッセイ、たわら、eMAXIS Slim、iFree、i-SMT) - 1億円のポートフォリオ
新興国株式を買うなら”eMAXIS Slim 新興国株式インデックス” - 1億円のポートフォリオ
結果をまとめると、新興国株は選択するファンドでリターンが変わるが、国内株と先進国株についてはどのファンドを選択してもリターンの差はわずかでした。
同一指数に連動するインデックス投信の評価はコストに集約されます。これは非常に分かりやすいので、横並びに比較してすぐに優劣の判断ができます。
特に信託報酬の差は分かりやすく、ネット証券での取引において高コストファンドは生き残れません。ある商品の信託報酬が下げられるとすぐに他社も追随します。
一時的にファンド間にコスト差が生じても他社も追随するので長期的には差が無くなります。差別化が難しい商品の販売は大変ですね。
でも、ほぼ同じ商品であるにも関わらず手数料が全然違う商品が同じ会社から販売されています。
eMAXISシリーズとeMAXIS Slimシリーズです。
名前もよく似ていますね。でも手数料(信託報酬)が全然違います。先進国株を例に比較してみましょう。
eMAXIS 先進国株式インデックス
信託報酬 0.648%
純資産額 340.3億円
ファンド設定日 2009/10/28
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
信託報酬 0.11826%
純資産額 85.9億円
ファンド設定日 2017/02/27
eMAXIS 先進国とeMAXIS Slim先進国はともにMSCIコクサイインデックスに連動することをめざして運用されます。さらに同じマザーファンド(外国株式インデックスマザーファンド)に投資されています。それぞれのファンドの仕組みは次のようになります。
eMAXIS 先進国株式インデックス
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
コピペのように同じ仕組みですが、違いはベビーファンドです。eMAXIS 先進国の方がeMAXIS Slim 先進国よりも10倍以上規模が大きいです。eMAXIS 先進国の方が5年以上早くから開始されているのが原因でしょう。
次に実際のパフォーマンスを比較してみましょう。
青:eMAXIS Slim, 赤:eMAXIS
2017年3月ー2018月4月の約1年間を比較しました。eMAXIS SlimがeMAXISよりも高いパフォーマンスだったことが分かります。少しずつ両者の乖離が広がっています。
年換算リスクは両方とも同じ(13.4%)でした。
一括投資の場合
2017年3月1日に100万円を一括投資していた場合、それぞれのファンドの損益は次のようになります
eMAXIS 先進国 109万300円
eMAXIS Slim 先進国 109万5900円
積立投資の場合
2017年3月1日から毎日1万円を積立投資した場合、それぞれのファンドの損益は次のようになります。
投資額=272万円
eMAXIS 先進国 276万4498円
eMAXIS Slim 先進国 277万1933円
eMAXISとeMAXIS Slimは同じリスクでリターンだけが異なる商品です。将来のリターンについてもeMAXIS SlimがeMAXISよりも信託報酬の差分だけ確実に上回ります。
投資家が合理的な判断をするのであれば、eMAXISは生き残ることができませんね。純資産額の推移では、eMAXIS Slim 先進国が右肩上がりに伸びているのに対してeMAXIS 先進国は横ばいです。
eMAXIS 先進国の純資産額が横ばいを維持出来ているのが意外です。なぜ大きく減らさずに維持できているのでしょうか?
理由1 株高
eMAXIS Slim 先進国が誕生する以前にeMAXIS 先進国を購入していた人はeMAXIS Slimに乗り換えたいと思いますが、乗り換えるには一度eMAXISを売却する必要があります。売却益があると20%の譲渡益課税が発生するので大きなマイナスになります。
理由2 販売チャネルの違い
eMAXIS Slim 先進国はネット証券7社のみで販売されています。それに対して、eMAXIS 先進国は各種銀行、証券会社に幅広く54社で取扱されています。銀行や証券会社の窓口で担当者に説明を受けて先進国株のインデックスファンドを購入すると、Slimの販売は無いのでeMAXIS 先進国を購入することになると思います。
同一指数に連動するインデックスファンドはコストの違いがパフォーマンスの違いになります。そしてコストの違いは継続的に掛かり続けるので長期投資になるほど大きなリターンの差に繋がります。さらに困ったことに高コストのファンドで積み立ててしまうと後から気付いても乗り換えるのに課税コストが掛かります。
ファンドを選択するときはなるべく低コストのファンドを選択することは当然ですが、ネット証券中心に販売していてコスト競争に積極的なファンドを選択するべきですね。