インデックスファンドを選択するときに注意しないといけない点の1つに分配金(配当)があります。
分配金を出すファンドと出さないファンドではどちらが良いでしょうか?
リターンの面から考えると、分配金を出さないファンドの方が有利です。
分配金を出さないファンドの方がリターンが大きくなるのは、分配金に掛かる課税を回避できるからです。
分配金を出さないファンドも最終的には売却益に課税されますが、課税を先送りにすることが大きなメリットになります。
先送りにすることで分配時に差し引かれる税金部分も運用に回すことが出来るので運用効率が良くなります。
これを”税の繰り延べ効果”と言います。
低コストを売りにしている多くのインデックスファンドが分配金を出さない方針なのも分配金を出さない方が投資効率が良いからです。
では、”税の繰り延べ効果”はどれくらいリターンに影響するのでしょうか?
シミュレーションで検証してみたいと思います。
年率5%で資産が増大するインデックスファンドを仮定します。
無分配型ファンドはそのまま5%づつ資産が増大します。
毎年分配型ファンドは5%の内、2%を分配金にします。分配金は課税後すぐに再投資します。
投資最終年に全ての利益を確定させて税引き後の資産を両ファンドで比較します。
まずシンプルに1000万円を一括投資した場合で比較します。
当然ですが、無分配型が分配型を上回ります。
税引き後の総利益は、10年間で1.9%、30年間で7.1%無分配型が上回ることになります。
投資期間が長期になるほど差が大きくなりますね。
次に、毎年100万円を積立投資した場合で比較します。
税引き後の総利益は、10年間で1.3%、30年間で4.8%無分配型が上回ることになります。
一括投資よりも差が開かなくなりますね。これは最初の10年間の運用額が小さく分配金の課税分が非常に少ないからでしょう。
”税の繰り延べ効果”は運用期間が長期になるほど無視できなくなってきます。
長期投資であれば無分配型を選択するべきでしょう。
重要な点は分配型と無分配型の差は”課税のされ方の違い”のみで生み出されるということです。
これは課税ルールの問題なので運用商品が優秀かどうかとは違った視点になります。
インデックス投資の投資先としてETFと投資信託のどちらが良いかという悩ましい問題があります。
米国で販売されているバンガード社のETFは超低コストで素晴らしい商品ばかりですが、日本から投資するのは問題があります。
問題の1つは米国ETFが分配型商品ということでしょう。
米国ETFが出す分配金は米国で課税された後に日本でも課税されます。
分配金を再投資するには今回のシミュレーションでは考慮していない高い手数料が必要になります。
私は運用コストや安定性の点で、米国ETFの方が日本の低コストインデックス投信より優れた商品だと考えています。
でも、実際に投資しているのは日本の投信です。課税ルールや手数料で日本から投資するのが不利だからです。
米国在住なら、迷わずバンガードETFを購入するのですが。