インデックス投資を行う場合、購入する商品は大きく投資信託とETFに分かれます。
投資信託とETFのどちらで投資したら良いのかは悩みどころですね。
投資信託の魅力は投資のし易さです。購入額も自由に選べるので積立投資にも便利です。つみたてNISAやiDeCo等の節税制度との相性も良いですね。
ETFの魅力は運用コストです。一度購入したETFの保有に掛かるコストは投資信託よりも低くなります。また、株式と同じように市場で売買されるので指値で購入したり、リアルタイムに購入することができます。
では、投資信託とETFのどちらで投資するべきでしょうか?
初めて投資する人にとっては投資信託の方が簡単で良いかもしれません。私も主に投資信託で投資しています。
運用額が大きくなってくると運用コストの低いETFが良いかもしれません。
ETFは米国のバンガードやブラックロックといった運用会社が有名です。運用する資産額が桁違いに大きく、運用コストも極限まで低コスト化されています。残念なのは両方とも米国市場に上場していて、直接購入するにはドルで購入する必要があります。米国市場で購入するのは売買手数料も高くなります。
投資信託とETFを比較するのに分かりやすい例として、楽天全米株インデックス(投資信託)とバンガードVTI(ETF)があります。楽天全米株インデックスはバンガードVTIを購入する投資信託です。つまり、楽天全米株インデックスとVTIの違いは投資信託とETFの違いになります。
投資信託とETFの主な違いについてまとめてみます。
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メリット |
デメリット |
楽天全米株式インデックス |
100円から購入できる 税の繰り延べ効果 |
運用コストが高い 指値で売買できない |
バンガードVTI ETF |
運用コストが低い 資産規模が大きい 指値で売買できる |
売買手数料が必要 為替手数料が必要 分配金課税 |
VTIは分配金を出しますが、米国と日本でそれぞれ10%、20%課税されます。VTIは非常に優れたETFですが、日本から購入するのは余分なコストが掛かってしまいます。
楽天米国株は分配金を出さないので日本での課税(20%)は売却時まで掛かりません。
最近は投資信託の信託報酬が大きく低下しています。楽天全米株の主なコストは年0.1696%(税込)程度です。VTIの年率0.04%には遥かに及びませんが、VTIのドル変換コスト、売買コスト、課税コストを考慮するとVTIの方が本当に低コストなのか微妙になってきます。
そこで、楽天全米株と本家VTIのどちらが総合的に低コストといえるか比較してみます。
条件は次のようにします。
1.毎年100万円投資
2.投資資産は年率5%成長(株価成長3%、分配金2%)
3.ETF経費0.04%、投資信託経費0.17%
4.ETFの分配金は国内課税(20%)後に再投資
5.ETFの購入コスト0.4%(円ドル変換0.2%、購入コスト0.2%)
6.ETF売却コストと米国課税(10%)は考慮しない
7.投資終了時の利益に20%課税
20年間の各年で投資を終了した場合のトータルリターンをグラフにします。
結果は、20年間の投資でもリターンはほぼ変わらないという結果になりました。実際にはわずかにVTIが上回りましたが、前提条件の些細な違いでどちらが有利かは入れ替わります。
実質的なコストは楽天全米株を選んでもVTIとそれほど変わらないと考えて良いと思います。
コストにそんなに差がないとなると、投資が簡便な投資信託の方がメリットが大きいですね。
では、投資信託で投資するのが良いのでしょうか?
必ずしもそうとは言い切れません。米国ETFにはコスト以外のメリットとして信用力があると思います。楽天全米株は日本では大人気のファンドですが、純資産額は130億円程です。対して本家VTIは10兆円を超えています。
20年後もVTIは存続していると確信できますが、楽天全米株式インデックスが存続しているかは心許ない気がします。
じゃあ、結局どっちなんだと言われると、私は国内投資信託を選びます。
理由は、今後日本もつみたてNISAやiDeCoをきっかけにインデックス投資が広まっていくと思うからです。
日本でも米国のようにインデックス投資が普及すると、ファンドの純資産額が増えて償還リスクが低下するでしょう。
米国ETFは極限まで低コスト化が進みましたが、国内投資信託はまだコスト低下の余地があると思います。積立投資が普及すれば、海外ETFに投資するより国内ファンドの方が有利になるでしょう。
もっと本質的な理由は海外ETFに投資するのはめんどうだからですけど。。