2018年の世界市場は全体的に低迷しています。その中で最も下落しているのが新興国株です。
今の新興国株の不調の原因はいくつか説明できます。
1つは米中間の貿易摩擦です。トランプ政権が知的財産侵害や安全保障を理由に経済制裁を行ったのがきっかけです。これに対して中国も報復を行い泥沼化しています。今のところ、中国市場でより大きなマイナス作用が起きています。
もう1つはトルコ通貨危機です。これも米国の経済制裁がきっかけで起きています。トルコ危機をきっかけに他の新興国からも投資資金の流出が起きています。
さらに米国金利の上昇で新興国から米国へ資金が流出しています。
新興国株式に大変な逆風が吹いていますね。
2018年の新興国株と新興国債券の値動きを確認してみます。
赤:新興国債券、橙:新興国株
株も債券もほぼ右肩下がりのひどいチャートですね。
新興国株は1月のピーク時から15%以上下落しました。
インデックス投資は長期で考えるべきだと思うので、一時的な下落に狼狽えるべきではないでしょう。
では、長期では新興国株のパフォーマンスは優れているのでしょうか?
過去10年間の新興国株の値動きがどうだったかを確認してみます。比較対象にS&P500を選んでみました。
赤:S&P500、橙:新興国株(EEM)
最近10年間のパフォーマンスはS&P500が新興国を圧倒しています。
S&P500が10年間で2倍以上に成長したのに対して新興国株は10年間低迷しました。
リーマンショックからの10年はまさに米国株の10年と言って良いでしょう。
これだけをみるとS&P500に投資するべきで新興国株に投資するとむしろ資産を減らす可能性が高いという結論になりそうです。
もう少し過去に遡って比較してみましょう。過去15年間を比較してみます。
赤:S&P500、橙:新興国株(EEM)
リーマンショックまでは新興国株が急成長していたことが分かります。
2010年代が米国株の時代だとすると、2000年代は新興国株の時代だったと言えるかもしれません。
この先10年間はどうでしょうか?
JPモルガンが各資産クラスを分析して長期的な期待リターンを推定しています。
それによると米国株の期待リターンを4.0%と予測するのに対して新興国株は6.5%としています。
今後10〜15年間は新興国株が米国株より成長するかもしれません。
新興国株投資は注意が必要
新興国株に投資する場合はリスクの大きさを考慮した方が良いです。過去のチャートを見ても明らかですが、新興国株は上下の振れ幅が非常に大きいです。上昇すれば大きな利益になりますが、逆の場合は大きな損失を抱える可能性があります。
投資する場合でもポートフォリオの一部に留めておくのが無難かもしれません。
ちなみに私は積極的に新興国株に投資しています。
理由は単純に株価が下落しているからです。
私の投資方針は”下がった資産に集中投資”です。下がれば下がるほど投資額を増やしていく予定です。