『ウォール街のランダム・ウォーカー』のバートン・マルキールと『敗者のゲーム』のチャールズ・エリスの2大巨頭が書いた「投資の大原則」にはインデックス投資で守るべき大原則が記されています。
今回はここから一括投資のリスクについて学びたいと思います。
まとまった投資資金があった場合、一括で投資するか、ドルコスト平均法のように少しづつ分散して投資していくかは悩ましい問題です。
合理的に考えるなら、一括投資の方がより早く資産を増やすことが出来るはずです。
でも一括投資を選択するのは悲惨な結果になる覚悟が必要です。
一括投資した次の日から株価が下落してその後20年間低迷が続く可能性もあるからです。
下図はS&P500指数の過去90年間のインフレ控除後の株価推移です。
株価は長期で見れば右肩上がりですが、時に株価が低迷する期間もあります。この株価が低迷する期間は思ったよりずっと長くなる可能性があります。
直近では、2000年のITバブル崩壊から次の高値を更新するまで13年掛かっています。
下落の直前で一括投資をしていた場合、10年以上も含み損に耐えなければいけません。
S&P 500 Index - 90 Year Historical Chart
もっと悲惨な例は1970−80年です。この低迷期は20年以上!!です。
想像してみましょう。20代から日々こつこつ倹約に勤めて30歳にして1000万円の貯蓄に成功したとします。
この1000万円を初めての投資でS&P500に一括投資します。
たまたまタイミングが悪くて投資した翌日から株価がズルズルと下落してその後20年間株価が低迷したらどうでしょうか?
50歳になるまでずっと含み損です。耐えられますか?
30歳ならその後、結婚したり、子供が出来たり、マイホームを買ったりとお金の掛かるイベントが色々発生します。
その間、ずーーと含み損です。耐えられますか?
パートナーからの冷たい視線に肩身の狭い思いをしながら売らずに持ち続けることができますか?
それが出来るという強い心を持つ者だけが一括投資をする資格があります。
正直、私には無理ですね。
「投資の大原則」もドルコスト平均法による時間分散を勧めています。
米国の株式投資信託への資金流入量は1999年第1四半期に過去最大になりました。IT バブル崩壊前夜です。
そしてバブル崩壊後の2002年第3四半期に最大規模の資金流出になりました。
つまり、バブルの最高値で買った人がその3年後に株価低迷に耐えられずに投信を手放したということです。
10年以上の含み損に耐えられる人なんてほとんどいません。
投資の大原則の1つは、大きな失敗は絶対に避けなければいけないということです。
どんな相場になっても致命傷を負わないように心がけましょう。