FIRE(アーリーリタイア)に必要な資産は年間生活費の25倍と言われます。
これは資産運用をしながら毎年4%引き出すと30年間は資産が枯渇しないというトリニティ大学の研究結果が根拠になります。
4%ルールを守って運用すれば、死ぬまでに破産するというリスクは回避できると考えて良いでしょう。
でも、30年後に資産がどれくらい残っているかは運次第で大きく変わってしまいます。
4%ルールで30年間取り崩した後、資産はどれくらい残っているか? - 1億円のポートフォリオ
トリニティスタディでは株:債券=75:25で運用した場合、最悪の場合でも元本はなんとか維持されることが示されています。
一方で、最高に運が良ければ30年後に資産が17倍に増える場合もあります。
全く同じポートフォリオで同じ引き出し率、同じ運用期間でもこれだけ大きな差が出るというのは衝撃的です。
同じ運用方針でこれだけ結果が変わるのだからまさにギャンブルですよね。
では、この差はどうして生まれるのでしょうか?
原因は運用の年率リターンにバラツキがあるからです。
30年の運用期間の平均リターンが同じでも、マイナスリターンの年が先に来るか後に来るかで大きく30年後の資産額が変わります。
つまり最初の数年間に大暴落に遭遇すると、資産が大きく減少してその後にプラスリターンの年が来ても取り返しがつかなくなります。
これは、"Sequence of Returns Risk"と呼ばれています。
私はこのリスクはまだ扱いやすい方だと思っています。
退職後すぐに起きる暴落だけ回避できれば済むからです。
最初の暴落時に資産を切り崩さずに市場が回復するのを待てれば、その後の資産の変動は含み益の範囲内で収まることになります。
リスクを避ける一番簡単な方法は実際に暴落が起きてからFIREすることです。
いつ暴落が起きるかを予測するのは不可能ですが、起きた後なら誰でも認識できます。
もう一つの方法は、暴落に備えて現金を別に確保しておくことです。現金クッションと呼んだりします。暴落時には運用資産を引き出さずに現金クッションで生活することで、市場の回復を待ちます。
3つ目の方法は、退職後も稼ぐ能力をしばらく維持しておくことです。幸いにも"Sequence of Returns Risk"は最初の暴落を乗り切るだけで回避できます。
退職後すぐならまだ年齢的にも若いし、最低限の生活費を稼ぐくらいなら難しくないでしょう。
いざという時になるべく楽に生活費を稼げる方法を考えておくと安心です。