公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、20年度の運用益が過去最大の37兆円になったことを発表しました。
新型コロナ: GPIF20年度、黒字最大37兆円 コロナ対策で株価上昇: 日本経済新聞
GPIFのサイトに行くと、累積収益の分かりやすいグラフが掲載されています。
これをみると2001年からの累積収益は95兆円を超えています。GPIFの運用のすごさは安定性です。含み損を抱えたのは最初の数年だけで、以降はずっと含み益を増やし続けています。
株価が下落するとGPIFの運用が批判されることがありますが、含み益の中での増減の話です。この図をみて年金をリスク資産で運用しない方が良いと主張する人はアホと言われても仕方ないでしょう。
GPIFは年金積立金を運用していることから、「絶対に損してはいけない」運用です。
当然、暴落のリスクも考えた上での保守的なポートフォリオを組んでいます。
(現在の基本ポートフォリオは株式:債券=1:1)
それでも年率3.61%で運用できているのだから順調といって良いでしょう。
年率3.6%で20年運用すると資産は2倍になる計算です。
そんなGPIFの運用目標はなんと賃金上昇率に勝つことです。
具体的には以下のように、賃金上昇率からさらに1.7%上乗せした率が目標になっています。HPにもはっきりと目標が書かれています。
年金積立金の長期的な運用目標=賃金上昇率+1.7%
実際の運用実績から、この目標は達成されていることが分かります。
過去20年間の運用での「GPIF vs. 賃金」の勝敗は15勝5敗で余裕の勝ち越しです。
名目賃金は過去20年間全く上がらなかったので当然の結果です。賃金がむしろ少し下がってるのが悲しいですね。
運用利回りは年率3.6%で増えていくのに賃金は全く上昇しないので、その差は毎年拡大していくことになります。まさにピケティのr>gの世界を表していますね。
20年前に1億円投資してほったらかしていれば今2億円になっています。
毎年3.6%で増えるとすると、20年前の年率利益は360万円、今年は720万円になりますね。
もちろん、投資にはリスクもあるし、毎年のリターンも一定ではありません。
それでもGPIFの実績をみると、投資をしない選択肢はありえないと思えますね。