どれだけの資産を築けばアーリーリタイアできるか?
一番有名な基準はトリニティ大学の研究で導き出された4%ルールです。
資産を株:債券=75:25で投資して毎年4%ずづ引き出した場合、30年間資産が枯渇しない確率は100%になります。(1926-1995年データの場合)
1億円なら毎年400万円引き出しても問題無いということです。
実際この条件だと、30年後に資産は減るどころかむしろ増えることになります。
そう考えると、4%ルールはかなり保守的かもしれません。
4%ルールがかなり保守的になってしまうのは、最悪のタイミングでも固定した額の引き出しを続けるからです。
でもリアルの世界だと、不況の時は支出を減らすし、好景気の時は支出も増えるものです。
投資で生きていくリタイア者が市場の変動を無視して支出が変わらないという前提は少し変ですね。
投資のリターンで生きている人こそ市場動向に従って支出を変えるべきでしょう。
バンガードが4%ルールをベースに、投資リターンで支出を動的に変えるモデルを提案しています。
支出額を市場動向に従ってほんの数パーセント変えるだけで、4%ルールよりも安定した引き出しルールが作れるのです。
A rule for all seasons: Vanguard’s dynamic approach to retirement spending
100万ドルを運用する場合、初年度は4%ルールと同じ4万ドルを引き出します。
2年目からは運用実績を基に、上限5%、下限2.5%の範囲で支出を変化させます。
つまり上限4万2千ドル、下限3万9千ドルの間で2年目の支出が決まります。
市場動向に従って支出を数十万円変えるだけで、一気に資産の安定性が向上します。
働いてる人だって不景気には収入が減るのだから、これくらいの変動は許容できるはずです。
このルールの良いところは、市況が悪いときに資産を枯渇させないだけではありません。
「良い市況が続く」という幸運な場合にそのリターンで積極的に楽しむこともできるのです。
4%ルールは最悪を想定して資産が枯渇しない率を算出していますが、資産が上振れして資産を使い切れないリスクは想定されていません。
そして4%ルールだと”資産余らせ問題”が起きる可能性の方がずっと高いのです。
バンガードのDynamic spending strategyは支出の範囲を市場に委ねることで、アップサイドリスクにも対応できるのです。