投資で億万長者になる!という内容の本は世に沢山ありますが、ほとんどが胡散臭い内容です。
投資で億万長者になったという人の本を見ると、私はどうしても怪しいと思ってしまいます。
でも今回ご紹介する「33歳で手取り22万円の僕が1億円を貯められた理由」はかなり真っ当な方法で学ぶ点も多いと感じました。
著者の井上はじめさんは手取り22万円とあまり収入が多くありません。それでも33歳で1億円の資産を築きました。
お金を貯めるための試行錯誤が赤裸々に語られているので、実にリアルに伝わってきます。
井上さんが投資を始めたのが2007年のリーマンショック前で、私が始めた年と同じだったのもリアルに感じた理由です。
そして私が億り人になったのも井上さんと大体同じ時期です。
「彼はどうやって達成したのか、私と違うところはどこ?」と、答え合わせをする気分で読みました。
その答えは、彼の投資法は私よりずっとシンプルでした。2007年から世界経済インデックスの投資信託に毎月10万円積立投資しています。
インデックスファンドの積立投資は今となっては一般的な投資方法ですが、2007年当時にこれができた人はほとんどいなかったと思います。
当時の私の投資信託のイメージは、高手数料で素人から搾取する悪魔の商品でした。
実際、いまよりずっと手数料が高い商品が溢れてました。
そして私は国内株に手を出し、リーマンショックで大損して塩漬けのまま「失われた10年」を過ごしてしまいます。
対して井上さんは、リーマンショックでどれだけ株価が下がってもブレることなく毎月10万円づつ投資を続けました。投資を開始して5年間ずっと含み損が続き、周りからも何で投資なんかしてるのかとずいぶん心配されたそうです。
これはすごいことです。リーマンショックからの回復を知っている今なら正しい投資判断だと誰でも分かりますが、投資ビギナーが日々増えていく含み損を気にせず淡々と投資を続けるのはなかなか出来ません。だって5年間ずっと含み損ですよ? よほどの信念がないと続かないはずです。
その信念が実って、投資元金の数倍のリターンを手にしました。
それでも1億円にはまだ足りません。
次に目をつけたのは不動産です。
アパートを買って数年間住み、それを買ったときの値段で売ればタダで住めたことになります。
実際、1300万円でマンションを買ってリフォームし、数年住んだ後になんと2500万円で売却しています。
濡れ手に粟のような商売ですが、物件を探すためのリサーチは徹底して行っています。
これは目利きの能力が必要ですが、マンションを買って自分で住むことで失敗するリスクが抑えられます。
賃貸派の私もこれが出来るなら買ってみたいですね。
こうしてインデックス投資と不動産投資の二刀流で1億円という資産を築きました。
私は株式投資だけだし、投資成績も彼より悪そうです。
今は同じくらいの資産ですが、今後は引き離されていくでしょう。
給与収入は私の方が多いですが、彼の方が資産運用がずっと上手いからです。
資産が増えてくると年収よりも資産運用の巧拙が重要になってきます。
「サラリーマンの年収の違いが、資産形成の決定的差ではないことを教えてやる!」
そんな声が聞こえてきそうな良書でした。