岸田政権の支持率は高いです。最近の調査では48%と少し落ちていますが、それでも前政権の菅さんと比べるとずっと高い人気を誇っています。
でも個人投資家からは全く人気がありません。正直なところ、私も「だめだこりゃ」と思っています。
その理由は、岸田総理の提唱する「新しい資本主義」が投資家にあまり響いてないからでしょう。
私もあまり良い印象を持っていませんが、知らずに批判するのも嫌なので「新しい資本主義の原典」と言われている「公益資本主義」を読んでみました。
著者の原丈人さんは岸田さんのブレーンで、政策にも影響を与えていると言われています。
原さんはシリコンバレーでベンチャービジネスの経験もあるベンチャーキャピタリストで、その経験からアメリカの株主資本主義には大きな問題があると考えるようになったといいます。
私は最初、左巻きの主張を展開されるのかと眉唾もので読み始めましたが、原さんが主張されていることはどれも妥当なことのように感じました。
例えば、株主至上主義だと短期の成果を追い求めすぎるために長期的な投資が難しくなってしまいます。
短期売買で利益を稼ぐトレーダーに企業の方針が振り回されることで、目先の小さな利益ばかりを追うようになってしまいます。
もっと企業が長期的な視野に立って成長できるような環境を整えないといけません。
うん、なんか正しい気がする。
でも、少し気になったのは、著者が批判するアメリカの株主資本主義の土壌でGAFAを始め世界をリードする企業がいくつも生まれたのも事実です。
Amazonが赤字から脱して黒字企業になるまでに随分長い月日が掛かりました。その間も市場はAmazonを高く評価し続けました。
テスラやスペースXみたいな実現に時間が掛かる事業に資金を供給し続けたのもアメリカの株主資本主義です。
アメリカ資本主義にも色々問題はあるんでしょうが、まずはアメリカの成功に学ぶのが先じゃないですかね?
日本が世界のトップランナーなら”新しい”資本主義を提唱する資格があると思いますが、今の日本はトップから周回遅れの劣等生です。
まずは株主資本主義の競争で勝ってからですよね。
この本を読んで一番共感できたのは意外にも金融所得課税のくだりでした。
株取引の問題は短期間で売買を繰り返すことです。短期売買は投資じゃなくて投機で投資される企業の利益になりません。長期投資こそが企業の発展に寄与します。
そこで、短期売買の税金を増やして、長期保有するほど売却益の課税を少なくします。
具体的には1年以内の売却は税金40%、3年の保有で10%、5年保有すると非課税が良いと主張しています。
私は基本的に長期投資なので、原さんの主張だと私は税金を払わなくて良くなりそうです。
総理!!これそのまま導入しましょう!