日本経済は過去30年間ほとんど成長しませんでした。失われた30年と言われたりしますね。
日本人の一人当たりGDPは世界35位まで落ちています。韓国や台湾に抜かれたと話題になりましたが、抜かれたというより日本が落ちていったと表現するほうが適切です。
問題はどうして日本経済がここまで衰退したのかですが、この疑問にアトキンソン氏が分かりやすく答えています。
日本衰退の原因について、SNSでは消費財増税とか財政出動が少なかったという論調が多いですが、アトキンソン氏は「そんなことはどうでも良い枝葉の議論」とバッサリ切り捨てます。
日本経済が衰退した最大の原因は人口動態の変化です。
経済の成長に寄与するのは”生産年齢人口”と”生産性”の2つです。
働く人の数と能力です。シンプルですね。
日本の生産年齢人口(15〜64歳)は1995年をピークに減り続けています。
生産年齢人口は消費も多いのでこの年齢層が減少すると消費も落ちます。
働ける人の数が減って消費も減るので衰退するのは当たり前です。
生産年齢人口が減り続けているのに、就業者数はなぜか増えています。
これまで働いてなかった女性や高齢者の労働参加率が増えているからです。この人達は非正規雇用が多いので結果的に一人当たりGDPを押し下げます。
ただ、すでに日本の労働参加率は世界最高水準でこれ以上増やすことはできません。
2025年以降は生産年齢人口が減る分だけ労働人口が減り、日本経済の成長を押し下げます。
労働人口が減る代わりに、高齢者が増えていきます。
減少する労働者で高齢者を支えることになるので税金は増えていくしかありません。
あれ、これもう詰んでる?
労働者が減って高齢者が増える未来は確定しているので、経済を維持するには生産性を上げるしかありません。
生産性を上げるためのアトキンソン氏の処方箋は、日本には中小企業が多すぎるので合併等を通じて規模を大きくすべし。最低賃金を上げるべしとのこと。
でも私にはこの生産性を上げる提言も労働人口減少の前には枝葉の議論に思えてなりません。
今の年金や社会保障システムは遅かれ早かれ維持できなくなるのでしょうね。